2024年4月5日(金)
ナビゲーター:岩本彬(Pasticceria Bar Pinocchio)
Barのおはなし③ terza misura
〜夫婦喧嘩とカッフェコレット〜
マッシモのバールにて先輩バリスタのジョヴァンニから”Caffè corretto”(カッフェコレット)について教わっているピノッキオ。
『Ciao ジョヴァンニ、ピノッキオ。そんなにリキュールを並べてどうしたんだい?』とやってきたのはフランコさん。
『今日はピノッキオに”コレット”に使うリキュールを教えているんですよ』とジョヴァンニ。
『それなら、”いつもの”ではなく”コレット”にでもしようか。実はさっき妻のシルヴィアとちょっと喧嘩してね。今日は禁酒と言われてるんだが、せっかくだ。ピノッキオに俺が好きな組み合わせを教えよう』とフランコさん。
フランコさんのコレットに使うリキュールは”Sambuca”(サンブーカ)。 イタリア特産のアニス風味の無色透明な甘いお酒。
『コレットには”Amaro”(アマーロ)や”Grappa”(グラッパ)、”Limoncello”(リモンチェッロ)などのリキュールを使うけど、フランコさんのコレットはサンブーカをショットグラスに、カッフェとは別添えだからね。お客様によっては予めカップにリキュールを注いでからカッフェを抽出したり、提供前に瓶ごと注いだりと様々だから、使うお酒と提供スタイルをよく覚えるようにね』と手際よく準備するジョヴァンニ。
『これだよ、これ!カッフェのコクと香りにサンブーカの甘く独特なアニスの香りが爽やかでクセになるんだ。これくらいのお酒なら…バレないから大丈夫』とウインクをして店を出るフランコさん。
しばらくして…
『Ciao ジョヴァンニ、ピノッキオ。今日は”いつもの”じゃなくて”コレット”をちょーだいな。フランコと些細なことで言い合ってね、聞いておくれよ』とやって来たのはフランコの奥さんシルヴィアさんだ。
どのリキュールにするのかな?とピノッキオが考えていると、ジョヴァンニが”いつものコレットです”と”カッフェとショットグラスに注いだサンブーカ”を提供した。
『やっぱりコレットはこれに限るね。カッフェのコクと香りにサンブーカの甘く独特なアニスの香りが爽やかでクセになるんだ』と少し前のフランコさんと全く同じことを言うシルヴィアさん。
『夫婦揃ってコレットは同じサンブーカ。フランコさんが今日コレットを頼んだことは黙っておこう…』と心の中で呟くピノッキオ。
そんなバールのひととき…